合資会社 シーガルハウス ウェブサイトデザイン


SHOWCASE 03:

株式会社 トーキングブック ロゴ+名刺デザイン

合資会社 シーガルハウス ウェブサイトデザイン

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印刷屋を建て直せ。

 

私の父のシルクスクリーン印刷屋、シーガルハウスのウェブサイトです。シルクスクリーン印刷という印刷方式は近年〜制作当時(2007年)、元来シルクスクリーン印刷で行われていた印刷物が安価なインクジェット印刷方式へ置き換えが進んでいました。これは安価で写真のようなフルカラー表現が可能な新しい印刷方式として、業界全体の流れとして移り変わりが進んでいました。このままではシルクスクリーンで食べていくことが困難である見通しは容易に想像ができ、その1つの救済策として、Webを立ち上げ、様々模索しているという段階でした。

 

Webはただサイトを立ち上げればそこから仕事がどんどん舞い込むかと言えば、当然そんなことはありません。今までの常識で考えられたシルクスクリーンの印刷需要は今後さらにどんどん無くなっていく状態ですから、今までとは異なる、“新たな印刷需要”を開拓しなければ食べていくことができません。

この考えに至った理由の1つとして、現状では少なからずとも、お得意様などからの印刷需要で最低限度は食べていけている状態でしたので、ここは今まで通りの仕事で最低限食べていくだけの仕事をし、Webからは今後新たな需要の開拓を行っていくのが良いであろうと考えました。そして今後未来については、その新たな印刷需要のほうへシフトしていこうと。

 

強みと特長を明確化すれば、それを必要とする層が見えてくる。

 

シーガルハウスのWebを(リニューアル)デザインするにあたり、まず金額勝負はやめにしようと考えました。安さを売りにしても当然競争になりますし、食べていけるほど需要=利益があるとも考えにくかったのです。

 

次にシーガルハウスを売っていく上で、シーガルハウスの特長・強みを明確化しました。シーガルハウスは主に小ロットの印刷が得意であり、最短で即日で仕上げること、

品質重視であること、ほかの印刷屋では断られるような、特殊面や特殊素材などに工夫して対応できること・・・。これらの強みを生かし、いかにWebからの印刷需要を呼び寄せられるかを考えました。

 

そのうち小ロットを求める需要層を考えてみると、現状の印刷屋の問題点が浮かび上がってきました。ほとんどの印刷屋は1000部2000部といった大ロットで、かつ決まった素材などにしか印刷してくれません。これは例えば「100部だけ欲しい」という品質重視のデザイナーさんや、すでにある既製品などにどうにか印刷してほしいといった特殊な要望などに応えられる印刷屋が無いということです。それらを求めている方が、いくらネットで印刷屋を探し問い合わせても、受けてくれる印刷屋はほとんど無かったのです。

 

ここでハッとしました。シーガルハウスの強みと、Webを立ち上げる上での「金額勝負はしない」方針に合致するのは、この需要層ではないかと。これらの需要層はシーガルハウスの強みである点がすべて、需要層に求められている点

(小ロットだけど品質重視、すぐに欲しい、こんな面に印刷してほしい…etc)につながりますし、今までの建築サイン関係とは全く異なるシルク印刷の新たな需要を開拓できるのです。また、それらの需要はとても大きいのではないかとも予測しました。

 

例えば小ロット対応できるという点は、製品化前の試作品へのロゴの印刷だったり、撮影素材のために少数必要な印刷物の需要であったり。そこは想像しきれませんでしたが、とにかく、クリエイティブでの需要は大きいであろうと。また、それだけ小ロットで品質重視、特殊なものでも可能な限り対応するという印刷屋というのが皆無であるという点も、その考えにつながったポイントです。

 

Webでの主なターゲット層としては、価格重視ではなく、小ロットながらも品質にこだわりたいデザイナーなどのクリエイティブ層と、“特殊な要望を持つ人”にしようと、必然的に決まりました。これは、今までシルクスクリーンをやってきた中での顧客層とはまるで違います。

「ここならやってくれそうだ」を、“1人でやってる小さな印刷屋”で表す。

 

次にターゲット層により強く、効果的に訴求していくには、どのようなWebデザインが良いのか考えました。探してもなかなかやってくれる印刷屋が見つからない中、「小ロットでも高品質なもの作ってくれる印刷屋はないものか・・・」、「こんな特殊な印刷やってくれるところなんて無いか・・・」。ターゲット層の気持ちを考えると、「ここなら(自分の意図する印刷を)やってくれそうだ」と思われるWebサイトにすることが、一番反応が良いだろうと思いました。すなわち、これがコンセプトです。

 

具体的な表現としては、シーガルハウスの特長と言いますか、「小さい工場で1人でやっている」という事実を、そのままWebで表してしまおうと思いました。小ロットが主体ですから、小さな工場で(それもそんなに小綺麗ではない・・・)職人が1人で、ただ丁寧に印刷しているだけという姿勢・状況が、「ここならやってくれそうかな」とターゲット層に思っていただけるであろうと。

そこでシーガルハウスの小さな工場を、外も内も全部開けっぴろげにして見せてしまうデザインにし、「コンセプト」ページで、シーガルハウスの考え方「ただ、正確に、印刷すること。」を訴求。小さな工場内を見せてしまうのは、“小さな工場でやっている”=頼みやすいし、やってくれそうと思われる表現でありますし、また嘘つきようがない、信頼性の確保という意味もあります。またその表現が、ページをスクロールすることで工場の写真が大胆に動くというユニークな表現にもつながり、一つのWebデザインとしても、インパクトのあるものになったのではないかと思います。

 

ブログが、印刷を求めている人とシーガルハウスを結ぶ架け橋となる。

 

また具体的なアクセスの獲得も考えました。Webを立ち上げただけでは、正直アクセス数なんて全然期待できません。何らかの形でプロモーションしていくことが必要になってきます。そこで当時、検索エンジンと相性が良いとされていたブログを立ち上げることにしました。

これは趣味的な意味合いもありますが、構図としては、ターゲットが検索エンジンでまず印刷について記したシーガルハウスのブログにアクセスし、そこからWebサイトのほうに流れ、最終的に問い合わせていただくというものです。

 

ブログを更新していれば「ちゃんとやっているところなんだ」と思って頂けますから、信用性も確保できます。またブログはシーガルハウスという印刷屋の単なるプロモーションツールではなく、今回のWebリニューアルする以前に公開していた、シルクスクリーンを知りたい美大生や一般の方へ向けた、啓蒙活動的な意味も持っています。シルクスクリーンの情報は案外探しても無いもので、その情報をブログを通して発信していこうという試みです。

 

こうしてWeb広告を一切打たず(出費ゼロ)、Webリニューアルから2年が経過した2009年現在、今までの建築サイン系の印刷需要はさらに落ち込んだのと引き替え、Webからクリエイティブ層からの新たな需要を獲得・拡大しつつあり、

NHK大河ドラマ「篤姫」(宮崎あおい主演)のスタジオセット印刷や、SoftBankの次世代通信技術における試作品印刷、無印良品の製品化試作品への印刷など、大手企業の製品印刷に携わり、さらにはクリエイティブの層に広く読まれている老舗専門誌「デザインの現場」(2009年12月号)にてシーガルハウスの印刷物とそのクライアント様の特集の中で紹介されるまでに至りました。

 

このWebデザインで行ったことは、シーガルハウスという印刷屋を“演出”することではなく、むしろ本来の、“本質”の姿を出してあげたことです。本質を見定めれば、建築サインよりもむしろ小ロットの需要の多いクリエイティブ関係の印刷のほうが考えてもみれば向いていて、1人でやっているということも、なおさらそれに適していたということ。時代的な流れももちろんありますが、その時代に応じた“本質”を捉え、ストレートに形にして表すこと。そんなシーガルハウスの本来の姿を、Webを通して見つけることができたのです。