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レントラック・ジャパン、映像制作会社から独立し、新たに音楽や映像等のコンテンツ配信事業などを扱う会社「株式会社トーキングブック」を設立した菅谷洋一氏。そのトーキングブックのロゴデザインを制作しました。
ロゴを制作するには、まずその企業やブランドのビジョンを導き出します。ビジョンとはそのブランドの目指す先や、どのような姿勢を基本とするかを表したものです。そしてその目には見えないビジョンを、形にして見えるようにしたのがロゴデザインです。
そこでまず、トーキングブックとは何をする会社なのか、何を目指す会社なのか、何のために会社を興すのかなど、ありとあらゆることをヒアリングし、ビジョンを探りました。それらで浮かび上がってきたものは、トーキングブックは「楽しんでもらう」ことが第一であるということ。
番組・ニュース・その他作品等のコンテンツを“制作”するのではなく、時代に即した形で“配信”すること。それによっていかに人々が「楽しむ」ことができるか。例えば今までテレビやDVDでしか楽しめなかった動画コンテンツを、ケータイという情報端末向けに配信できたら、今までにない「楽しい」があるかもしれない。またこれから先に生まれる情報技術や端末を利用した、コンテンツを楽しむための新たな流れを作ること、例えばカーナビに音楽配信ができたらどうだろう?トーキングブックとして行うことは、すべてはこの「楽しい」というものに向けて進んでいくのであると。

トーキングブックとしてのビジョンが「楽しむ」ということならば、これを発展させて、ロゴの表現コンセプトに結びつければいいのですが、どうもそれだけではビジョンとして“強度”が弱いと感じました。
なぜ強度が弱いのか理由をひたすら考え続けると、1つの答えが浮かび上がりました。それは、「あたりまえ」だから。「楽しむ」ことを目指しているということは、確かにビジョンとしては素晴らしいですが、裏を返せばどのコンテンツ配信系企業でも言えること。つまり、トーキングブックならではのビジョンは、「楽しい」を届けることのさらに向こうにある何かだと考えたのです。そこでもっと深く考えてみることにしました。「“楽しむ”とはすなわちどういうことか」「“楽しむ”とはすなわちどこへ向かっているのか」・・・。数日考え続けた後に、ふと、ヒアリングの内容をまとめた議事録に記していた、菅谷氏の一言に着目しました。
「例えばカーナビに音楽配信とかできたらすごく良いですよね」
この一言で、すべてが繋がりました。トーキングブックの根底としてある「楽しむ」ということの本質は、「コミュニケーションを深くするもの」、すなわち「人と人とのつながりをより深くするもの」なのではないかと。
またそのつながりを結ぶという行為そのものが、「楽しむ」ということなのではないかと。例えばカーナビに音楽配信ができたとしたら、音楽を車のカーナビ端末で即座にダウンロード購入して楽しめるわけですが、そこで終わっては単に、表面的に「楽しんだ」というだけです。トーキングブックとして、ただ「楽しんだ」というそれを届けただけではなく、「思い出」を届けているのではないかと。友達と一緒にどこかへ遊びに行く車中で、そのときの会話の流れで出てきた音楽を、即座にカーナビ端末でダウンロード購入・再生できたら、その車中ではもっと盛り上がるに違いない。そうなれば、遊びがもっと楽しいものになって、友人関係がもっと深くなることでしょう。コミュニケーションが深くなる、また深くなることのプロセス自体もまた「楽しい」。トーキングブックとして目指す「楽しむ」とは、すなわちこういうことではないかと考えました。
そこで導き出したトーキングブックのビジョンは「人と人との結びつきを“届ける”」。

このビジョンを表すロゴデザインとして、シンボルマークはビジョンの要である「(人と人との)結び」が表れているのが必然的であろうと考え、
イニシャルT・Bをモチーフに、「結び」を表す形を模索しました。さらにそれら文字に加え、ビジョンの「人」を意味する文字として「H」の字も加えました。T・B・Hの3文字の小文字表記を組み合わせてみると、そこには「結び」そのものの形が浮かび上がっていました。まさにこれはビジョンを表す上での、これ以上ない機能美なシンボルであろうと思い、シンボルマークとしてこの形を決めました。
シンボルマークができあがったので、次にロゴタイプを制作しました。その際、菅谷氏のリクエストとしてあった「ヨーロッパの企業みたいな、優雅な感じが良いのかも」ということもできるだけ取り込もうと考えました。